オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~
「さやか、想太と仲よかったっけ」
 
私の言葉は、自分でもびっくりするほど、氷のように冷たかった。

「あの、一般教養の英語のクラスで一緒で……席が隣同士だったの」
 
般教の英語、といったら去年の1年生の時の話だ。
 
クラスの人数が多いので、出席番号が奇数と偶数で講義室が分かれていた。
 
私は、想太ともさやかとも違うクラスだった。
 
だから、ふたりが繋がってるなんて、知らなかった。

「そうなんだ。いつからつきあってるの? つきあいホヤホヤだと、まだラブラブの時期かな?」
 
何気なく私は言った。
 
さやかは、色恋沙汰は面倒だ、とこの間言っていたのに。
 
想太の良さに気づいて、やっと恋を覚えたのかな。
 
想太とさやかは目を合わせた。

「……あのね、つきあいは、1年前から」

「ちょっ、さやか」
 
さやかの目は、真っ直ぐ私を見ている。
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