オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~
「……夢くん……」
 
私は、思わず夢くんに抱きついた。

「り、梨聖ちゃん」
 
夢くんは戸惑ったようだったけれど、私は夢くんの胸にしがみつき、わんわん泣いた。

「……よし、よし」
 
夢くんは、優しくあたまを撫でてくれた。
 
お洗濯の匂いのするシャツに、その彼のぬくもりに、落ち着いた。

「……なにか、温かい飲み物、持ってくるよ」

「……うん」
 
私が落ち着いたところで、夢くんは私の体を離した。
 
彼がブースを出て行くと、ピルピルピル……と、メールの着信音が鳴った。
 
私は鼻をすすりながら、鞄からスマホを出す。
 
――想太からだった。

『ごめん。さやかも梨聖も、どっちも大事だった』
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