オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~
「う、うん――」

何だろ――。確かに怒られはしなかったけど……。

とんとんと、私が階段を昇っていこうとしたとき、お兄ちゃんとすれ違った。

「どこか行くの?」

「ひゅう。朝帰りぃ」

お兄ちゃんは、前髪をビシッと立ててオシャレをしている。

「~~」

私はからかわれ、恥ずかしくなって何も言い返せないでいた。

「オレはデートだよん。じゃな」

25才になるお兄ちゃんは、――正確には従兄弟にあたる人だけども――は、結構女遊びが激しい。

お兄ちゃんが高校生の頃から家に何人彼女を連れて来たか知れない。

もう、入れ替わりが早い。

無断外泊なんて数知れず――……。

逆に27才になるお姉ちゃんはもう真逆。

美人で大人しい。モテるし、もうずっと前からつきあっている彼氏もいるみたいけど、外泊なんてしない。
< 132 / 350 >

この作品をシェア

pagetop