オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~
今度、目を閉じたまま、夢くんの声、聴いてみようかな。
 
惚れ直しちゃうかも。
 
どちらかというと、高めの声、柔らかな物腰。
 
あ~、夢くんに早く会いたいよ。
 
私はさっき別れたばかりの彼を思った。

「軽く、当てていきます」
 
化粧水のほのかな甘い匂いがする。
 
ぽんぽんぽん、とおでこから頬、鼻、とコットンでパッティングされる。
 
心地よかった。
 
ひとに、触れられるのって気持ちがいい。
 
肩をもんでもらったり、背中を掻いてもらったり、手を繋いだり、そういうことって好きだ。

「じゃあ、今度は乳液をつけますね」 
 
店員さんのなめらかな手で、顔にミルクが塗られる。
 
心地よい。何だか自分がお姫様になった気分だ。
 
そのあと、化粧下地を塗られ、ファンデーションを当てられた。
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