オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~
ケーキってほんと、特別なもの。

それを家族で囲めるなんて、幸せだ。

「やばいな~、私、ダイエット中なのに、ケーキなんて食べちゃって」

お姉ちゃんがプリンを掬って漏らす。

「またダイエット? いつになったら成功するのさ」

お兄ちゃんが茶々を入れる。

「お姉ちゃんは、ダイエットなんかしなくても充分素敵よ」

と、お母さん。

「そうだそうだ。健康的にふくよかな方が、お父さんは好きだな」

と、お姉ちゃんをしげしげと見つめてお父さんが言う。

私から見ても、お姉ちゃんはすらっとしていて、ダイエットの必要なんて全然ないように思う。

けれど、お姉ちゃんは年頃なのか、いつも体型を気にしている。

「お父さんに好まれても困るわ。これを最後に、甘いものはしばらく絶とう」

そう言ってお姉ちゃんはクリームをぱくり。

そんなこんなで、一家団欒のひとときは終わりに近づいてきた。
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