オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~
今日、夢くんが私を迎えにきてくれる手筈だった。

もうすぐ、約束の時間だ。

「梨聖ちゃん、そろそろ渡海さんが来るんじゃない?」

「うん」

「ダンボールとか、荷物、玄関先に置いておきましょう」

お母さんが言うと、お兄ちゃんが、

「どれ、手伝ってやる」

と、珍しく優しさを見せた。

お兄ちゃんとお母さんに手助けしてもらって、荷物を玄関に置いたところだった。

ピンポン、とチャイムが鳴った。

「あらあら、時間ぴったりね」

お母さんがドアを開けた。

「どうも、こんにちは」

夢くんが、にこにこ笑顔で立っていた。

「いらっしゃい」

お父さんも出てきた。

< 201 / 350 >

この作品をシェア

pagetop