オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~
「ほんと? よかった」

向かい合って座る夢くん。

「あはは、メガネ曇ってるよ」

「おっと」

リゾットの湯気で夢くんの黒縁メガネは真っ白になった。

「これじゃあ、梨聖ちゃんの顔が見れない」
 
夢くんは、いちいち私をどきん、とさせる。

彼自身は、無自覚なんだろうけれど、私のセンサーは夢くんの言葉に感応しまくりだ。

素敵な素敵な彼氏。

朝っぱらから、夢くんのことが大好きだと思ってしまう。

夢くんはティッシュでメガネを拭くと、改めてかけた。

私の顔をじっと見て、ぷっと笑った。

「何よ、笑うなんて」

「口髭ついてる」

「髭?」
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