オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~
「牛乳で、鼻の下が真っ白だ」

夢くんはティッシュを取り、上半身を伸ばして、私の顔を拭いてくれる。
 
こういうことが、どきん、とするんだってば。
 
こころの中で、ひとりごちる。

「とれたよ」

「ありがとう」

「さー、今日はどこか出かけようか」
 
もう少しで食べ終わる夢くんが、スプーンをくるりと回して言った。

「どこでもいいよ。私、部屋でまったりでもいい」
 
夢くんがいるなら。どこでも。

「せっかくの誕生日なんだから。どこか行こうよ」

「夢くん、体調は大丈夫なの?」
 
このところ、発作を起こすことが多い。
 
決まって、夜だけれども、ひどく苦しそうだ。
 
激しい運動をした時も、発作起こしてたっけ。

「うん」
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