オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~
「季節の変わり目だから、体調悪いんじゃないの?」

「そうかもね」
 
季節が完全に移り変わったら、夢くんの容態も安定するのかな。
 
私は軽い考えでいた。
 
そして夢くんは、最後のリゾットをひと口で食べ終えると、

「よし、海に行こう」

と、笑顔で言った。

「あ、賛成」

「海見て、ぼーっとしてこよう」

「うん……あ、ごめんね、私。食べるの遅くて」

「ゆっくりでいいよ」

「ありがとう。じっくり味わいたいから」

「喜んでもらえてよかった」
 
夢くんはスプーンを置き、あぐらをかいた。
 
そして私をじっと見つめる。

「あの、視線が痛いんですけど」
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