オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~
「ははは。梨聖ちゃん見てると、飽きないな」

「飽きないって、私、そんなに面白い顔してる?」

「いや、可愛いから。目が離せない」

「もう!」
 
私は照れ隠しに、ティッシュの箱を夢くん目がけて投げた。

「ははは」

「ゆっくり食べさせてよ」

「ごめんごめん」

「テレビでも見ててよ」

「うん」
 
実は私も、夢くんの顔をじっと見ていたかった。
 
かっこいいし、その横顔なんかはアンニュイな雰囲気を醸していて、そんな彼の表情が大好きだった。
 
そんな夢くんは、ニュースにチャンネルを合わせた。
 
私はゆっくりとリゾットを口に運ぶ。

『○○県○○市で、2歳の男の子が母親に虐待され、意識不明の重体です。警察は詳しく事情を聞いています――』
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