オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~
「立派なご両親だね」

「そうだね。尊敬してる。たまにお父さんお母さんに会いたくなる時もあるけど。私の記憶の中には、両親はいないから」
 
夢くんは、私をまたちらり、と見た。

「そうか」

「お兄ちゃんがね……あ、従兄弟にあたるお兄ちゃんなんだけど、最近私が死んだ母親に似てきたっていうの。お兄ちゃんとはトシが離れてるから、生きていた頃の両親が記憶にあるのよね」

「……」

「なんていうか、顔の創りだとか、雰囲気だとか。今は写真でしかお母さんの顔見ることできないけれど、しっかりと母親のDNAは受け継がれてるんだなって」

「そうだね。産んでくれた両親に感謝しないとね」

「ほんとそうだよ。お母さんに誕生日ありがとう、って言いたい」

「うん。その気持ち、きっと伝わるよ」

「夢くんは、どっち似? お父さん? お母さん?」
 
赤信号で車は止まった。
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