オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~
私は本当に幸せ者だ。

「どっちにも似てないの?」

「ああ、よくわからない」

「そっか……。トシとると似てくるっていうよね。夢くんはどんなお父さんになるんだろうね」
 
自分で言って、はっとした。
 
まるで、私と結婚した前提の話になっている。
 
気恥ずかしくなって、私は話題を変えた。

「海まであと何分?」

「30分ちょっとかな。今日はちょっと車混んでるかも」

「日曜だしね」

「進むよ」
 
信号が青に変わり、夢くんは車を動かした。
 
私は夢くんの横顔を見る。
 
すっと通った鼻筋、さくらんぼ色の唇。
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