オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~
いーじゃん。こんな出会いでも。

たとえ、……今日だけのつき合いでも。

「渡海さんは、サークルとか入ってるんですか?」

「うん。テキトーにね。野球から卓球までやる球技愛好会っての」

「そうなんだ」

「うん。この夏は、走ってばっかだったなぁ」

この席――。シートを前後しなくても私の脚に丁度いい位置で止まっていた。

私、女の子としては平均的な身長だ。

誰か、女のひとを乗せたことがあるのかな、なんてちょっぴり思ったりして。

「走ってた? 短距離?」

「いや、長距離。マラソン。ひとりで走ってたよ」

「ひとりで? キツくないですか」

すると彼はアゴに手を当てて言った。

「キツかった。さすがに」

「夕方っていっても、夏場は暑いですよね」

「いや、夕方じゃない。サークル活動として走ってたんじゃなく、個人的に走ってたんだ。昼間」
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