オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~
「面倒だから、手酌で」
 
涼くんが云う。私もいつも手酌が好きだ。
 
やっぱり、このひととはどこかで合うのだ。確信した。
 
だからと云って、彼氏にしたいだとか、そういうのはないけれど。
 
夢くんも、お酒飲めればいいのにな。体質じゃしょうがないかな。
 
一緒に酔って、一緒に眠りたい。
 
そして、同じ夢を見たい。
 
熱い燗を口に含むと、芳醇な香りがした。ちょっと辛口の日本酒。とっても美味しい。
 
私は少し、酔いが回ってきた。

「……あんたは、兄弟いるのか」
 
涼くんがやっと話題を振ってきた。彼も酔いが回って、リラックスしてきたのかもしれない。

「いるよ。お姉ちゃんとお兄ちゃん」

「そうか。仲良くやってるのか」

「うん。昔はケンカしたりしてたけどね」
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