オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~
「事故?」

「いつ出会うか、いつハートとハートがぶつかるか、解らないじゃない」

「面白いこと言うな」

「だって、そう思うもの。私だって色々経験してきたわ」
 
ずっとつきあっていた想太と、友人のさやかが、私に隠れてつきあっていた……そんなことが明るみになったのも最近だ。

私は、夢くんがいたから。夢くんと出会って、ハートとハートがぶつかったから、想太のことでそんなに胸を痛ませないで済んだ。
 
私と夢くんが出会ったのは、事故なのだ。

「俺も、痛い目ばっかり遭ってきたな」

「涼くんも? 何か一途そうだけど」
 
彼は目をぱちくりとさせる。
 
寡黙でマイペースだけれど、静かに熱く彼女を思っていそうだ。不器用そうでもある。

「一途な方が、負け。ほら、恋って惚れた方が負け、って言うだろ」

「そうかもね」
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