オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~
「いいわよ。雑魚寝になるけれど」

「やったね」

「私は、途中で帰るね」

そう切り出した。

「なんで? 梨聖、酒盛りだって時、最後まで呑んだくれてんじゃん」

帆乃香の言葉に窮してしまう。

「えっと……このあと、用事があって」

夢くんを独りにさせるのは、こころもとない。また、夜中に発作でも起こしたら大変だ。

「用事? あんたこの間の合コンもすぐいなくなっちゃったじゃないの」

「夢大さんと、待ち合わせのお泊り?」

帆乃香に続いて、鈴が攻撃してくる。

「お泊りというか……」

一緒に棲んでいる、なんて言ったら、皆たまげるだろうなと思って、黙っていた。

「いいなあ、夢大さんみたいなダーリンがいて。梨聖は幸せ者だよね」

鈴はぐいっとワインを飲み干す。
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