オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~
さやかはワインをちびりと飲んだ。

「今まで、真っ当じゃなかったの?」

「不倫してたとか? その奥さんがやっと別れてくれたとか?」

ビーフジャーキーをばりっと齧って帆乃香が鈴に続く。

さやかは真っ直ぐ前を向いて話し出す。

「うん。彼女がいるひととつきあってた。だけど、最近その本命と別れたの」

おいおいおい……そこまで話していいの?

私はだんまりを決め込んでいた。

「すごい、やるなぁ、さやか」

もぐもぐとビーフジャーキーを咀嚼しながら言う帆乃香。

「私も夢大さんとつきあっちゃおうかな。梨聖には内緒で」

鈴は軽口を叩く。それ、冗談になってないから。

私のコップが空になったのを見ると、さやかがそれに気がついてワインを注いでくれた。

「ダメよ」
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