オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~
「梨聖、ちょっと前まで、想太くんと自然消滅気味だって言ってたよね」

「――うん」

帆乃香に話を振られて、私は頷いた。

「梨聖と会っていない時間、想太くんは私と会ってたの」

「ちょ、それって、どれくらいのつきあいになるの?」

帆乃香はビーフジャーキーを食べる手を止めた。

「1年以上」

さやかは正直に応える。

「えっ。その間、ずっと二股? 梨聖、このこと知ってたの?」

「うん。知ってたよ」

「いつ気づいたの」

「えっと……最近。別れてから」

私もさやかのように、正直に話すことにした。

「梨聖、あんた怒ってないの? 怒ってるんなら、私、代わりにさやかのこと、ぶん殴る」

帆乃香が手の関節をぼきぼき鳴らす。
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