オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~
「うん……ありがと」

「あ~あ、夢大さんとつきあってみたかったな~。堅いんだもん、メアドさえ教えてくれなかったわ」

鈴は大きなため息。

「堅いかしら」

私は初対面で、彼の誘いのまま車に乗って、デートをした。

「夢大さんが、梨聖をナンパしてきたんでしょう。もっと軽いひとかと思ってたのに」

ナンパ、と言われれば、そうかもしれない。

けれど、私たちの出会いは必然だったかのように思う。

「それだけ、梨聖を愛してるってことよ」

さやかが言う。

「梨聖には負けたわ」

そう言って、鈴は私のあたまを小突く。

私は思わず体勢を崩し、床に倒れてしまった。

「あら、どうした? 梨聖」

倒れたまま、あたまがぐるぐると回って、起き上がれないでいた。
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