オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~
「あ、俺、酒飲めなくて」

「そうなんだ。でも、梨聖の体調が落ち着くまで、しばらく休んで行きませんか?」

「梨聖ちゃん、どうする?」

心配そうな顔で、夢くんは尋ねてくる。

「帰ろうかな」

「梨聖、平気なの?」

「うん。夢くんに支えてもらう」

「でも、もう少し休んだ方が……」

「平気」

鈴は私を引きとめようとしている。

きっと、夢くんと少しでも一緒にいたいという気持ちからなんだろう。

私はそれを察して、帰る、と言ったのだ。

「梨聖ちゃん、荷物、これで全部?」

私の鞄を持ってくれる夢くん。

「うん」

「じゃあ、帰ろうか」
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