オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~
零れ落ちる砂時計の砂を両手で必死に両手で受け止めようとするかのように。

――それでも指のすき間から、砂ははらはらと零れ落ちて行った。

そして――。

とうとう、夢くんは入院した。

からっぽになった、私と夢くんの城。

私は、いつも通りに学校へ行き、帰ってきてはふたり分の夕飯をつくり。

ひとりでビールを飲み、ベッドではなく、布団を敷いて眠った。

淋しかった。

ただただ、夢くんが退院する日が来るのを待っていた。

また、一緒に暮らせる日を。

夢くんの寝息をBGMに、ビールに酔いしれる日を。

――入院している夢くんの元へは、行っちゃいけないような気がしてた。

これは、ただの何かの勘だけれども。
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