オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~
窓際のベッドらしく、はじめは逆光でその姿が見づらかった。

「夢大、梨聖ちゃんよ」

お母さんが優しく声をかけた。

――返事がない。

「夢大ってば、眠ってるみたい。――私、下で飲み物買ってくるわね」

気を利かせてくれたのかな。

そっと夢くんに近づいてみる。

細いウデがさらに細くなった気がする。まさに、骨と皮。

そんなウデには、点滴がされていた。

頬は、さらにこけていて、口の周りには不精ヒゲが生えていた。

――なんだか、ぐっと老けたような気がする。

私はそっと頬に触れてみた。

久しぶりの夢くんの肌。

「ん――」

小さなうなり声を出して、夢くんはぱちっと目を開けた。
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