オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~
「あ、はいはい」

私は言われた通りにした。――よりかからずに上半身起こしてるだけで、しんどいんだ、と思いながら。

「これでいい。ありがとう」

と言われて、私はベッドの横のパイプ椅子に戻った。

「梨聖ちゃんは、白が似合うね。パジャマも白だったしね。まだ着ているの? あのパジャマ」

クリーム色に近い白に、ピンクの小花を散らしたパジャマ。

私はいつもそれを着ていた。

小さな雑貨店で千円で買ったもので、生地はとても薄いものだった。

「あれ、洗濯したらすり切れてボロボロになっちゃってダメにしちゃった」

と、言うと。

予想外に夢くんはしょんぼりと肩を落とした。

「なんだ――じゃあ、もうあのパジャマを着た梨聖ちゃんは見られないのか」

「今はピンクのパジャマよ」

「そうか」
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