オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~
「んー。雨降ってるなー。事故んないようにしよーなー、とか。ま、独り言に近いけど」

「私も独り言、多いですよ。あと、鼻歌とか」

「鼻歌出るねー。俺、鼻歌っつーかマジ歌唄っちゃう」

私たちは顔を見合わせて、笑った。

抱けど心の内は、影がじわりじわりと広まっていた。

不安の影。

もう少しで、渡海さんと、お別れの時間が近づいている。

楽しい、夢のようなデートはもうお終い?

「梨聖ちゃん、家どこ?」

――来た。この質問。

終わりの合図。

「泉区です。――渡海さんは?」

「俺、青葉区。大丈夫だよ、ちゃんと送ってあげるからね」

「――ありがとうございます」
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