オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~
私は頷き、肩を並べるでなく、先に歩いて行ってしまう彼の後を追いかけた。
 
いつもそうだった。
 
想太は、手を繋ぐこともしないで、いつも先々を歩いていく性格だった。
 
それが淋しくもあったりしたけれど、今はそうは思わない。
 
私のベクトルは、渡海さんに傾いている。
 
そう、確信した。
 
今日もよく晴れていて、公園の木製のベンチはからっと乾いていた。
 
私たちは、そこに腰を下ろした。
 
肩を寄せ合うでもなく、ひと一人分のスペースを空けて座った。
 
これが、いつもの私たちのスタイルだった。

「なに、話って」

「うん……。最近、どうしてたかなって」
 
いきなり本題に入るのはためらわれた。
 
何でもない話で、事を進めた。

「いつも通りだよ。できるだけ学校は行って、バイトして」
 
彼は苦学生だ。
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