オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~
「え?」

「私……想太がいなくても、やっていけるみたい」
 
想太は私を凝視した。
 
口を開けて、何か言いたそうにしている。
 
けれど、言葉は出てこないみたいだ。
 
私は捲くし立てる。

「想太がいなくても、女友だちと仲良くやってるし、毎日楽しいし、想太からの連絡がなくても、淋しいなんて思わなくなったな」

「……」

「私たちの関係、自然消滅するかと思ってた」

「俺は、連絡とらなくても、こころは通じ合ってると思ってた。自然消滅なんて、考えもしなかった」
 
やっと口を開いた想太が、強い口調で言った。
 
彼がそう思っていただなんて、思いもよらなかった。
 
てっきり、私のことなど忘れてると思ってた。
 
ちくり、と少し胸が痛む。
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