好きになんか、なってやらない
 
「じゃあ、玲奈は彼が迎えに来てくれたから、ここでバイバイってことで」
「ちょっ……」
「ほら、みんなも空気読んで!」


空気を読むのはお前のほうだ!!


心の中でそうつぶやいたけど、周りの同期もすでに祝福モード。


お願いやめて。
変な誤解しないで。


男子の真意は分からないけど、
少なくとも女子は、私がここにいる彼とうまく行ってほしいと願っているんだと、なんとなく分かった。

私が陽平とくっつけば、自然と岬さんは振られることになる。
そうすれば、岬さんが自分のもとへ来てくれるんじゃないかという甘い妄想。


「玲奈、今度報告してね」
「バイバーイ」


私の心の嘆きは虚しく、同期たちはみんなそそくさと私たちのもとから去ってしまった。





「………最悪…」

「ごめん。なんか俺、場違いだった?」


思わず漏れてしまった言葉に、陽平がうろたえて謝っている。

場違いにもほどがある。
わざわざ、こんなところまで迎えに来るなんて……。

けど……。


「こっちこそごめん。巻き込ませちゃって」


よく考えれば、陽平だって被害者であることは変わりないのだ。
 
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