好きになんか、なってやらない
「……でも…あの彼のことは信用してるんだ?」
「え?」
一瞬、その「彼」というのが、誰を指しているのか分からなかった。
だけど思考回路が、あの日の出来事へとたどり着く。
陽平と再会した日。
突然現れた岬さん。
彼は陽平に対して……
(玲奈の彼氏?)
(そう)
きっぱりと、私の彼氏だと言い切っていた。
「どうだろうね。信じ切ってはいない」
岬さんのことを100%信頼するには、まだまだ時間が足りない。
一度騙されているし、今だって私に突っかかってばかり。
けど……
「男の人の中で、一番信頼できる」
これだけは、変わらない事実。