好きになんか、なってやらない
ガコン……
休憩室にある自動販売機から、白い缶が落ちた。
そこには、ミルクも砂糖もたっぷりのカフェオレ。
「めずらしいな。そんなの飲むなんて」
「……」
ボックスから取り出した瞬間、頭上から聞こえた声に、
内心ビクッとしつつも平常心を保って顔だけ開けた。
「そうですか?私、結構甘党ですよ」
「へー。それは意外」
振り返った先には、目を丸くさせて私を見下ろす岬さんの姿があった。
岬さんの顔を見た途端、思い出されるのは昨日の光景。
あれから岬さんは、彼女とどう過ごしたんだろうか……。
「ん?俺の顔に何かついてる?」
「べつに」
「今見てただろ。……あ、もしかしてようやく俺のカッコよさに気づいた?」
「アホくさ」
いつもと同じような切り返しに、モヤモヤしている自分が悔しくて、さっと彼から離れた。
「今日の夜空いてる?」
そのまま休憩室を出ようとすると、背中に投げられた言葉。
誘われることに、どこかで期待していた気がして
そんな自分にイラッとしながら、顔だけ振り返った。