好きになんか、なってやらない
「空いてません」
「予定は?」
「家に帰って寝ること」
あと、昨日買ったチョコを食べること。
「じゃあ、仕事終わったらな」
「だからっ……」
「岬ー。この前のプレゼン内容だけど……」
「あ、今行きますー」
勝手に進められた誘い。
慌てて断ろうとしたのに、さっさと岬さんを連れ去ってしまう先輩。
ああ、もう……。
絶対に行ってなんかやらないんだから……。
【行きませんよ。それに、今日は忙しいです】
席に戻って、社内メッセを送ってやったけど、それにたいしての返信は一切なし。
だけど忙しいのも本当。
今日は月末の金曜日。
昨日、チョコを買うために早く帰ってしまったので、今日はその分の仕事をしないといけない。
だからいくら今日が、華金だとしても、定時に上がって飲んでいられるほど、私は暇ではないのだ。
メッセが返ってくることもなく、それ以上岬さんが誘ってくることもなかったので、
私もそのあとは気にせず仕事に打ち込むことにした。
それにしても、納品書やらの書類関連が山のよう……。
早く帰って、チョコを口にしたい……。
ひたすら、今週分のノルマが達成するまで、パソコンへと向かっていた。