好きになんか、なってやらない
 
「ぶっちゃけ、昨日女の子の誘いで飯食いに行ったのは本当なんだけどさ。
 なんつーか……その時に確信したっていうか……。

 俺、多分もう、昔みたいに適当に女と遊ぶのとかできねぇなって」


ブツブツと、愚痴をこぼし出す岬さん。

彼の言いたいことが分からなくて、ただじっと彼の顔を見上げていた。


「今まで暇つぶしの感じで女と遊んできたけど、全然暇つぶしになんねぇ。
 なんか、お前の顔ばっかちらつくし」

「……」


意味が分からない。

そんなこと言われたって、迷惑なだけなんだから……。


「……暇つぶしな理由だけでつきまとわれたら……迷惑なんですけど」


ドキドキしているのを悟られたくなくて
必死に平常心を保って出てきた言葉は、史上最大に可愛くない言葉。


嬉しいとか……
どうして言えないんだろう……。


「あーだからー……そうじゃなくて」


私からの返事に、ガシガシと岬さんも頭をかく。

「はぁ」とため息を吐くと、再び私へと向き直った。



「お前と一緒にいたいの。
 暇つぶしとかそんなの関係なくして」



もうダメだ。
心臓が押しつぶされそう。
 
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