好きになんか、なってやらない
 
【プライベートなんで】


一言、そう返信をしてラインの画面を閉じた。

次の返信がすぐ来たけど、ラインの画面は開かない。
そうすれば既読マークはつかないし、もう携帯を見てないんだろう、と諦めると思ったから。


鞄に携帯をしまうと、すぐにトイレを出た。
あまり陽平を待たせるわけにもいかないし……。


「ごめんね」
「全然」


陽平はさっきと同じように座っていて、戻ってきた私を見てニコリと微笑んだ。


「それ、飲んじゃったら?
 ほかにも美味い酒いっぱいあるから、せっかくだしいろいろ頼もうぜ」
「うん、そうだね」


グラスには、半分くらいのカクテルが残っていて、言われるがままに残りのカクテルを飲み干した。


「他は何がおすすめなの?」
「そうだなぁ……」


綺麗な見た目に、確かな味。

カクテルで酔ったことのない私は、抵抗なしに勧められるがままに飲んでいて……





「大丈夫?」

「う、ん……」


30分後、急激な眠気と闘うことになるなんて
予想だにしてなかった。
 
< 142 / 301 >

この作品をシェア

pagetop