好きになんか、なってやらない
「誰と言われてもなぁ……。
こうやって、玲奈の携帯にも自由にとることができる関係の男、かな」
《はあ?》
陽平は、ベッドへ腰をかけると、スヤスヤと眠る玲奈の髪をそっと撫でた。
《玲奈はどうした?》
「寝てるよ。俺のベッドで」
《お前っ……》
「変な言いがかりとかはやめなよ。べつに無理やり連れてきたわけじゃないんだし。
……もしかして君、この前俺に、玲奈の男だって嘘ついた奴じゃない?」
《嘘だと?》
「玲奈から全部聞いたよ。
彼氏だって言ったのも全部咄嗟についた嘘ってこと。
でももう、俺にたいして嘘をつく必要なくなったから、ちゃんと明かしてくれたよ」
《……》
電話の相手……凌太は言葉を失う。
「玲奈は俺に君との関係を誤解されたくなかったってこと。
意味分かるよね?今、玲奈は俺のベッドで寝てるんだし」
凌太は、陽平の言っていることを信じたくなかったが、こうやって玲奈の携帯に陽平が出ていることから何も言い返せなかった。
それに自分が、玲奈にとって何も関係ないのは事実……。
「じゃあ、俺もそろそろ寝るから。
バイバイ。片想い君」
《おいっ……》
陽平は、最後に言い捨てると、そのまま携帯を電源ごと落とした。