好きになんか、なってやらない
 
陽平に好きだと告白されたとき
頭の中に浮かんでしまった岬さんの存在。


あんなに誠意を見せてくれたのに、信じる信じないとか、そんなことはどうでもよかった。


ただ、あの時の私の心が求めていたのは、
間違いなく、陽平を受け入れようという想いじゃなくて
憎まれ口をたたきながら、喧嘩をして過ごす岬さんとの日々だった。



認めない。

好きなんかじゃない。



けど……




少しずつ膨らんでいく自分の気持ちに
蓋をするのも限界になっている。




(じゃあな。伊藤さん)




彼は最初から、私をからかっていただけの先輩。

だから私は、まだまだ気持ちに気づかないふりをするんだ。


いつかこの気持ちは
浄化されるだろう……。
 
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