好きになんか、なってやらない
14章 ゲームオーバー
「じゃあ、行きましょー!」
「はいよ。今日は終電で帰さねぇよ?」
「えー、じゃあ責任とって泊めてくださいね」
きゃぴきゃぴした声とともに、一つの輪がフロアを出て行った。
エレベーターに乗り込むまで、その黄色い声がなくなることはなくて……
「玲奈。今日飲みに行くよ」
「え?」
「いいから」
ようやくその声がなくなった途端、隣にいた真央が半ば強引に誘ってきた。
なんとなく、真央がいきなり私を飲みに誘ったのか、分かってしまった。
「お疲れ」
「お疲れ」
会社の近くの居酒屋。
一通り仕事を終え、真央と二人で来ていた。
「あー、やっぱビールはうまい」
「親父くさ」
「自分だってビールのくせに」
私と真央に、甘いカシスオレンジとか不要だ。
いつもビールから始まり、中盤には日本酒へと切り替わる。
「さてと……今日はとことん吐いてもらうよ!」
ドンとジョッキをテーブルに置いた途端、いきなり真央の尋問が始まった。