好きになんか、なってやらない
「玲奈はいつもガードが固くて隙がなくて。
絶対に凌太さんを相手にしない!って感じだったのに、彼の目的を知ってから逆に隙が出てくるようになって……。
いつも口げんかみたいになってたけど、凌太さんと口論している玲奈、あたし結構好きだったよ」
「……」
「可愛こぶったり、相手を気遣ったりするだけの恋なんて、本当の恋じゃないよ。
言いたいことを言えて、喧嘩も恐れずできる相手こそ、自分に合った相手なんじゃないかな」
気づけばもう、真央の言葉を否定する気持ちなんかなくなっていた。
本当は、そう言ってもらいたかったのかもしれない。
誰かに背中を押してもらいたかったのかもしれない。
理想とか、信頼とか、
相手の顔色をうかがう恋なんて、本物なんかじゃないと……。
「二人に何があって、今こうなっちゃってるのか分かんないけど、
もし自分の気持ちに素直になってないんなら、まずは玲奈が素直にならないと。
逃げてばっかいたら、絶対に幸せはつかめないよ」
「……うん…」
「それに、玲奈が凌太さんとうまくいけば、あたしが裕樹さんと近づくきっかけができるしね」
「ちょっと!それが目的でしょ!」
「あ、バレた?」
最後に余計なひと言。
真央はペロっと舌を出して笑っていたけど、最後の一言がただの付けたしなのは分かっていた。
まあ、本心ではあると思うけど。
素直に……。
まだ私は、10代のようなストレートな恋が出来るのだろうか……。