好きになんか、なってやらない
15章 ゲームリスタート
 
「ふぅ……」


電車を降りて、思わず漏れたため息。

お酒も完全に抜け、どんどんと冷静な頭になっていく。
そして湧き上がってくるのは、さっき自分が発してしまった言葉の後悔。


どうして言ってしまったんだろう……。


(ゲームは私の負けです。
 あなたの狙い通り、好きにさせられましたから)



自分でも驚いてしまうほど、突然の告白。

その寸前まで、自分の気持ちに気づかないふりをし続け、必死に抑え込もうとしていたのに……。


湧いていたのは怒りのはずだった。
文句を言うつもりで、目の前まで歩み寄ったはずだった。


だけど口を開いた瞬間、零れ落ちたのは
情けないくらい素直な告白。



「バカみたい……」



思い出すだけで恥ずかしくなる。

そして失恋したんだと気づくと泣きたくなる。


涙が零れ落ちないよう、
必死に上を見上げて、マンションへと帰った。
 
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