好きになんか、なってやらない
 
「はぁっ……はぁっ……」


起き上がって、壁側に一歩後ずさった。

行動を止められた岬さんは、不機嫌そうに私を見据えてる。


「なんで?」

「なんでって……。
 て、ててっ……展開早すぎてついていけませんっ!!」


あくまでも強気で。
悪戯をするワンコをしつけるように。

そう思って、キッと睨みあげて相手を黙らせようとしたのに………



「ぶっ……噛みすぎっ……」



私を見て、岬さんは吹き出して笑った。


「しかも超顔真っ赤だし。
 玲奈じゃねぇみたいっ」

「な……」


ツボに入ったのか、涙まで流している始末。


ねえ、これって怒っていいところ?


「……どうせ私は、岬さんみたいに慣れてないですよ。
 どうしていいのかも全然分からないですし」


怒りたくもなったけど、
感じてしまった価値観の差に若干凹んだ。


いくら私が、処女じゃないにしても
最後にしたのは数年前だし、経験数だってたかがしれてる。

それに比べて、彼は……

 
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