好きになんか、なってやらない
「んなビビんな。傷つくから」
「す、みません……」
私の反応を見て、くすりと微笑んでいる。
見上げたその顔は、信じられないほど優しい微笑みで……
「ちゃんと玲奈のペース大事にするから。
今日はもう、これ以上のことはしねぇよ」
「……」
そう言って、岬さんは私のおでこにキスを落とした。
今まで大嫌いだった。
触るなんて論外だった。
だけど今、
そう言って優しく触れる彼の手が
この世で一番安心する温もりに感じて……
「………好き。凌太」
言わずにはいられなくなった、告白と彼の名前。
目を丸くさせた岬さん……凌太は、一瞬の間の後、カァーっと顔が赤くなっていき……
「だからそういうの、すげぇ反則なんだって!!」
ずっと余裕を見せていた彼の顔が
一瞬にして照れた男の子の顔になった。