好きになんか、なってやらない
 
ああ、ダメだ……

可愛すぎる。


初めて感じた、彼にたいしての愛しさ。


憎たらしさしか感じたことがなかったのに
母性をくすぐられるようなキュンとなる感じ。


「りょーうた」

「…なんだよ」

「凌太。
 りょうちゃん。
 リョータ」


名前を呼ぶたびに、照れくさそうに答えるその顔。

もっともっとからかいたくなる。

だけど私の遊びは、すぐに中断させられることになり……



「いいの?玲奈。
 そんなに俺の名前を呼んだら……」

「え?きゃっ……!!」



ぐるんと変わった視界。

目の前には再び天井と凌太の顔。



「襲っちゃうよ?」



途端に見えたのは、きらりと光る歯と悪魔のしっぽ。


ああ、ダメだ……
この男の前では……



「ダメだって言ってるでしょ!!」



強気な女でいないと、貞操を守れない。
 
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