好きになんか、なってやらない
 
「まあまあ!今の凌太さんは、人を好きになるってことがどういうことなのか分かっていいじゃないですか!
 ………ちなみに裕樹さんは、いないんですか?そういう人……」

「んー?俺は常に本気だよ?
 じゃあ、真央ちゃん、俺と付き合う?」

「え……」

「柿本さん。真央をからかうのはやめてください」

「おー、怖っ……」


色気の満ちた目で真央を誘惑しかけた柿本さんに、思わず本気の睨みとともに釘を刺した。

真央はもともと柿本さんが好きなんだから、そんな言葉を吐かれたらすぐにコロッといってしまう。
だけど大事な友達が、遊ばれるなんて御免だ。


「やめとけ、裕樹。
 遊ぶなら、玲奈の知らないとこでやれよ」

「はいはい」


その言葉もどうかと思うが、とりあえず身内に何かなければいい。

真央は複雑そうな顔をしていたけど、さすがに遊ばれてると分かってて応援は出来なかった。




何気ない世間話を添えながら、お腹が満たされるくらい料理とお酒を堪能した。

だけど今日は早くから飲みに来たから、終電とかもまだ先だ。

二軒目に行くのか、このままお開きにするのか……
そんなことを頭の中で考えているとき、ふいに人が横切った。


「三名様、お通しですー」


スタッフの人のあとに続く男の人三人。

真ん中に続く一人の人を見て、思わず目を見開いた。



嘘……。
陽平だ……。
 
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