好きになんか、なってやらない
17章 セカンドバージン
 
「何?この手は」
「こっちのセリフ」


お互いの手を掴みあったまま、至近距離で見つめ合う私と凌太。

いや……


「ここまで来て無理とか、生殺しにもほどがあるんだけど」
「じゃあ、これからは何もさせない」
「なんでだよ!」


睨みあっている、と言ったほうが正しいかもしれない。

体勢は、まさかのベッドの上に組み敷かれている状態。


「いいから離せっ」
「いってっ……」


いい加減、この体勢のままでいるのも辛くて、凌太の体を足蹴りしてどかせた。


「お前なー、女なんだから足を出すな」
「自己防衛に、手も足もない」
「自己防衛って、彼氏にたいしての防衛なんかいらねぇだろ」
「一番の危険人物」
「てめぇ……」


ようやくどいた凌太をよそに、乱れてしまった髪と服をもとに戻し、ベッドから降りた。


冷静を装ってるけど……

心臓はバクバクだ。
 
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