好きになんか、なってやらない
「なー。まだダメなの?」
「……ダメ」
凌太と無事に付き合ってから、もう1か月は過ぎた。
だけど私と凌太に、あれ以上の進展はなし。
キスはするものの、それ以上の行為は一切させていなかった。
今日はちょっとだけエスカレートして、ベッドに押し倒されてしまったけど。
「いい加減、男として辛いんですけどー」
「私のペースでいいって言ったじゃん」
「言ったけどさ……。俺も健全な男子でして」
「……」
それを言われたら、私も応えにくい。
意外と言うべきなのか……。
本当に凌太は、無理強いなんてしてこなかった。
こうやって求めてくることはあっても、私が拒否すれば力づくでしようとはしない。
だからこそ、私もいつものペースで拒んじゃうんだけど……。
「俺とするの、嫌?」
「………そうじゃないけど…」
「怖い?」
「……」
怖い、と答えるのは、なんだか悔しくて頷けなかった。
けど、やっぱり怖いんだと思う。
いくら初めてじゃないにしても、もう何年も他人に見せていない自分の体。
体を重ねることが怖いんじゃなくて
凌太に自分の体を見せて、幻滅されるんじゃないかということが怖いんだ。