好きになんか、なってやらない
 
「だーかーらー……ここは素直に
 ”うん、怖いの”って可愛らしく言えねぇの?
 そしたら俺も、よしよしって頭撫でてやんのに」

「言えない。無理」

「……」


そんな可愛こぶりっこした台詞なんて、口が裂けても言えない。

そういうのを求めているんだったら、それこそ私なんか好きにならないほうがいい。


「………ったく…」
「ちょっ……」


ベッドの淵に寄りかかっていた私を、上から抱き寄せてくる凌太。

ちょうど頭と頭が、至近距離にかかる。


「ほんと可愛くねぇ」
「だからっ……」
「強がってるくせに、手は震えてんの」
「……」


ぎゅっと掴まれる右手。

凌太の手に、すっぽりと埋もれてしまう。



「ほんと……

 すげぇ可愛い」



そう言って、凌太は甘い甘いキスを
ベッドの上から降らせてくれた。



憎たらしくて
意地悪で

甘い甘い恋人。
 
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