好きになんか、なってやらない
 




「え、まだシテないの?アンタたち」
「その言い方やめてよ」


夜、真央と二人で飲みに行ったとき、ふいに私と凌太の関係のことを聞かれ、バカ正直に答えてしまった。

まだキスまでしかしていない私たちに、信じられないといった顔をしている真央。


「だってさー、あの凌太さんだよ!?
 玲奈にアタックする前まで、あんだけ女の子と遊びまくってたのに……あ、ごめん」
「いいよ。それは事実だし」
「じゃあ、遠慮なく。
 その凌太さんが、玲奈と付き合ってもう2ヶ月になるっていうのに、手を出してないってことにビックリだよ」
「出されそうにはなってるけどね」


若干、恥ずかしくもあったけど、きわめて冷静に受け答えをした。

真央はもうお酒がいい感じに体内にまわっているらしく、やたらテンションが高めに絡んでいる。


「前から気になってたけど……玲奈って経験したことないの?」
「……あるよ。一応は」
「じゃあ、どうしてそんなに拒むの?」
「それは……」


さすがに内容が内容なだけあって、声をひそめて話し合う。


べつに好きで拒んでるんじゃない。
私だって、凌太に抱かれることを嫌と感じているわけじゃないから。

けど……



「怖いじゃん。
 凌太みたいにいろんな女の体を見てきた人に、自分の体をさらすなんて……。
 見て、幻滅されたら嫌…だし……」



最後は恥ずかしくなって、声をごにょつかせてしまった。

私、真央相手に何話してるんだろう……。
 
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