好きになんか、なってやらない
「……」
途端に静かになった部屋。
うわ……私今、滑った?
らしくないこと言い過ぎた?
凌太からの反応が返ってこなくて、今自分が発してしまった言葉に後悔した。
これはすぐに空気を変えよう。
また飲み直そう。
そう思って、その場を離れようとした瞬間……
「あー無理っ!」
「えっ……っ!?」
急に声を上げたと思ったら、奪われる唇。
そしてキスをされたまま、ドサッとベッドへと押し倒されてしまった。
「ちょっ……」
「玲奈が悪い。そんな可愛いこと言うから」
「なんっ……んっ……」
やっぱり、らしくないことは言ってはいけない。
どうやら、凌太の暴走スイッチを押してしまったらしい。
これはなんとかしないと……。
「玲奈」
だけど私がスイッチをオフする前に、逆に名前を呼ばれて抵抗を止めてしまう。
見上げると、冗談とかからかいとか、一切なくなった凌太がいて……
「好きだよ」
ありきたりな愛のセリフを吐いたその一言で
私の機能が全停止した。