好きになんか、なってやらない







「痛すぎ。もうシしたくない」
「お前、俺を干からびさせる気かよ」
「だって……」
「後半はよがってたじゃん」
「……」
「いって!」


時間も分からない真夜中のベッドの中。
まだ下半身に感じる痛みを伴いながら、いつもの調子を取り戻していた。

デリカシーのない突っ込みを入れる凌太には、肘打ちを。


「何もしないって言ったのに」
「玲奈が悪い。可愛すぎるから」
「嘘つき」
「……そんなに嫌だった?俺とするの」
「……」


その聞き方はずるい。


嫌なわけない。
いつかもう一度誰かと抱き合うことがあるとすれば、もう凌太と以外は考えられないから……。


「……べつに」
「素直じゃないねー。玲奈ちゃんは」


可愛くない答えに、凌太はただ笑っていた。



私は相変わらず、可愛いセリフ一つ言えなくて
取り柄もなければ、特別なことなんて何もない。

それでも凌太は、そんな私を好きだと言ってくれる。




「ありがとう。傍にいてくれて。今年は最高の誕生日」




お礼くらいちゃんと言いたくて、
頭一つ分上にいる凌太を見上げて、心からお礼を言った。
 
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