好きになんか、なってやらない
凌太のおかげで、いつもとは別人のようにきらびやかになったメイクの顔。
髪もハーフアップをしてくれて、残った髪をブローで靡かせてくれている。
慣れないワンピースを着て、ヒールを合わせた自分。
パンプスだけは、割といつも高めのものを履いていたので、ワンピースに違和感なく合わせられていた。
「玲奈は背も高いからな。
俺と並んでも、違和感ない」
ヒールを履けば、170㎝近くなる。
凌太との身長差も、きっと10㎝あるかないかくらいだ。
それは男女が並んで、一番理想の身長差でもあって……
「もっと自分に自信持てば?
今の玲奈は、そこらへんのモデルより、ずっと綺麗だから」
「……」
真っ直ぐとぶつけられたその言葉に、言葉を返せないほど照れてしまった。
全く自信がなかった自分。
目立つことが大嫌いだった自分。
だけどそれは、少しずつ少しずつ崩されていき……
「行こっか。玲奈」
目の前の、自信に満ち溢れたこの彼に
ふさわしい女になりたいと思うようになっていった。
醜かったのは
勝手にふさぎ込んでいた自分だ。