好きになんか、なってやらない
 
はぁ……。やっと半分か……。


定時の時間を過ぎて、首をコキコキと鳴らした。


備品や営業、企画で必要なリストアップ。
それをどの取引先で使用されるかや、取り寄せの手配。

総務なんて、それが仕事だ。


月末や月初がやたら忙しい。
月中は結構定刻に帰れることがあるけど。


最悪にも今は月末で、忙しい上に、プラスアルファのこの仕事は、脳をフル回転させないとやっていけなかった。


「そろそろあたし帰るけど……。
 大丈夫?」

「あ、うん。お疲れ」

「手伝えそうなものがあったら手伝うけど」

「大丈夫。ありがと。
 それよりも、今日は合コンなんでしょ」

「あははー」

「じゃあ、行ってらっしゃい」


心配してくれる真央に、平気なふりをして笑顔で手を振った。

同じ事務職でも、私と真央では仕事内容は違う。
だからお互いの仕事は、そんなに手伝えたりはしないのは事実だから。


「あまり無理しないでねー」
「ありがと。また来週ね」
「うん。じゃあね」


真央も手を振ると、軽くなった足取りでフロアを出て行った。


それに、あんな気合の入った勝負服の真央を、いつまでも残しておけないでしょ。
 
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