好きになんか、なってやらない
 







「玲奈!玲奈っ!!」



誕生日から、1か月近くが経った。

変わらぬ日常。
そんな朝、真央がハイテンションで出社してきた。


「ちょっと!これ!!」
「え?」


手に持っていたのは一つの雑誌。
よく見ると、表紙には【アムアム】と書いてある。


「玲奈と凌太さんが載ってるんだけど!いつこんなの撮ってたの!?」
「あ……」


バッと開かれたページには、あの時撮られたであろう私と凌太の写真があって……。
しかもあろうことか、一番大きな場所だ。


「玲奈、めちゃくちゃ綺麗に化粧してもらってるじゃん!
 最近化粧をし始めたのも、この時から?」
「まあ……。凌太に言われて……。社会人なんだから、化粧はマナーだって」
「そっかそっかー。玲奈、どんどん女の子らしくなってるね。
 この写真の玲奈だって、超女の子の顔してんじゃんっ」
「何それ……」


言われて、改めて見る自分の写真。

ぎこちない笑顔だけど、凌太に肩を抱き寄せられピッタリとくっつかれている私は、確かに少し前の私からは想像つかないほどの顔つきで……


「悪夢だね。こんなのが世に出回ってるなんて」
「こらこら」


照れてしまう自分を必死に抑えて、いつもの冷静なふりをした。
 
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